文学部のゼミ

文学部はゼミ活動も徹底した実学主義。教室内での授業に留まらず、街へ、史跡へ、あるいは教育の現場へ活動の場を求め、フィールドワークを通して体験的に学ぶことで研究対象を深く掘り下げていきます。
日本の音楽?芸能
日本の音楽や芸能を中心として、日本文化に関することがらを幅広く対象としています。
学生自身が各自でテーマを設定し、そのテーマに基づいて研究を進めます。一人ひとりが、自分の研究内容を口頭で発表し、他のゼミ生からの質問とそれに対する応答という形で研究をより深めていきます。 本ゼミで重視するのは、①自ら問題意識を持って研究テーマを決めるという課題設定力、②そのテーマに対してさまざまなアプローチをとって研究を深めるという研究力?探求力、③質疑応答を経ることで研究内容を改善していく課題解決力です。これらは大学生のうちに身につけてほしいものであるとともに、社会に出てからも必ず役に立つ能力です。本ゼミを経験することで、そのような能力を身につけてほしいと願っています。
民俗学、民俗芸能
民俗芸能の伝承に関する研究
本ゼミでは民俗学を学びます。民俗学は私たちが目にするもの、耳にするもの、感覚的なものを資料とした学問です。民俗学の調査手法はフィールドワークです。帝京大学のある八王子市は豊かな民俗文化にあふれているので、毎年、八王子市内にフィールド地を定めています。 ゼミ生はグループワークで資料を収集してフィールド地の歴史や文化を事前に勉強し、聞き取り調査を行う質問項目を考えててから調査に行きます。地域の人たちと交流をし、文化を知ることは地域貢献にも繋がります。また、夏休みには有志で3泊4日の民俗調査実習(夏合宿)も行っています。民俗学の調査方法?研究方法を学び、自分で問いを設定する力をつけていきます。
映像文化、芸術学
戦前から占領期にかけての日本アニメーションとマンガに関する歴史的研究
ゼミには、アニメーションや実写映画、ネット動画を中心とした映像文化や、マンガやライトノベルなどの出版物、デジタルゲームなど、現代日本のサブカルチャーに興味がある学生が集まっています。自分たちが趣味として楽しんでいる分野を、客観的な資料を用いて分析する作業を通して、現代の日本文化のあり方について考えていきます。ゼミ生には、配布資料に加え、PowerPointによるスライドや映像も用いて発表を行ってもらいます。アナログとデジタルの両方の手段を駆使したプレゼンテーションを通して、自分の考えを相手に分かりやすく伝えるにはどうすればよいかを実践を通して考え、コミュニケーション能力の向上をめざします。
日本思想(近世)
江戸時代の政治思想と文化
本ゼミでは、江戸時代(1600年?1868年)の人びとが社会政治や人生、自然についてどのように考えていたのか考察します。学生は自分の興味に応じて研究テーマを選び、研究を進めています。卒業論文を執筆する学生もいます。例えば、松平不昧と近世の茶道、国学者本居宣長の「神」の概念、または貝原益軒の儀礼論や平田篤胤のコスモロジーに関するテーマが卒業論文として取り上げられています。ぜひ、このゼミに参加して、タイムスリップしながら自分が知らない江戸時代の世界を一緒に探検しましょう。
日本服飾文化史、平安文化
このゼミでは、論文の読み方、くずし字?漢文などの史料の読み方を学び、文献との向き合い方を身につけながら、それぞれの関心を深く掘り下げて研究テーマを見つけていきます。服飾に関する研究テーマでは、衣服はもちろんアクセサリーや化粧、髪型、文様やデザインまで幅広く、時代も原始から現代までさまざまです。また平安文化に関するテーマでは、食文化や呪術?遊戯まで多岐に渡ります。 個人の研究は書籍中心ですが、一方でホンモノから得られる学びは大きいと考えています。そのため、学期に一度、大学の外に出て服飾に関する見学会や体験会を実施しています。じっくり観察したり手を動かしたりすることで、生活文化のもつ面白さを実感してほしいと考えています。
アメリカ合衆国の政治史、思想史
西洋史では変わり種のアメリカ合衆国史を研究します。
戦後の日本にとってアメリカ合衆国は一番つきあいの深い国だと思われますが、実はアメリカ合衆国ほどよく分からない国も珍しいかと思います。本ゼミでは、アメリカ合衆国の現在を理解するのに有益だと教員が判断した政治史、文化史、社会史などの文献を題材に、ヨーロッパ文明に端を発しつつも、それが「アメリカ化」し、なおかつ世界に影響を与えるようになった仕組みをゼミ生と教員が一緒に研究します。そのうえでアメリカ合衆国という国の形を理解すると同時に、アメリカ合衆国の現在を世界史の中に再定位することを試みます。こうした試みを通して、私たちが住む日本についての理解をより広く、より深くするものとすることをめざしています。
日本近世史
本ゼミの日本史籍講読では、「今川仮名目録」や「甲州法度之次第」といった戦国時代の分国法や、江戸時代初期の武家諸法度といった著名な法令を読み、史料を読みこなす訓練をしています。日本史演習では、18世紀初頭を代表する学者である荻生徂徠が記した「政談」や、寛政の改革を主導した松平定信の自叙伝である「宇下人言」などを取り上げ、江戸時代の政治や社会の状況について検討しています。あわせて、政談や宇下人言について分析した論文をゼミ生で輪読し、討論なども行っています。このほか、日本近世史の分野で研究者や学芸員をめざす学生を対象に、大学院進学のための指導をしています。
中国古代史
学生が自分で興味を持つテーマを設定し、そのテーマに関する知識や意見を自力で深めていけるよう指導します。
本ゼミでは、学生それぞれが自分の興味あるテーマを設定し、そのテーマについて自力で調査?研究できるような能力を身につけることを目的としています。そのために、まずは学生一人ひとりにカウンセリングを実施して興味関心の方向性を明確化したうえで、テーマに関するごく基礎的な報告を行ってもらいます。そのうえで概説書や研究入門書などを参考にしながら、論文の探し方?読み方?まとめ方などをレクチャーし、徐々に専門的な発表ができるよう指導していきます。学生一人ひとりが自分の興味ある研究テーマに向き合い、また教員?学生同士で議論を重ねていく中で、自分なりの歴史観を養っていけるよう全力でサポートします。
地理学、地理情報システム(GIS)
本ゼミの地理学実習では、主に学内(室内)での実習を通して、土地利用図の作成、地理情報システム(GIS)の使用方法、地理学の研究に必要な統計資料の入手、分析方法などの指導を行っています。地理学野外実習では、前?後期に2回、2泊3日のフィールドワーク(野外調査)を実施し、対象地域の自然環境の調査、聞き取り調査の方法、調査報告書の作成方法などの指導を行っています。また、不定期に日帰りで八王子キャンパス周辺に学生を引率し、キャンパス周辺の地形や地層の観察に関する指導も実施しています。
JAPAN-ASIA CLLIMATE DATA PROGRAM(JCDP)
高分解能マルチプロキシによる過去数百年間の日本の寒候期気候復元
環境問題
地球温暖化、プラスチック汚染、絶滅危惧種、外来種の増加など
関心のある環境問題について予想をたてて調査を行い、結果を卒業研究としてまとめていきます。これまで、多摩川の外来種や東京のカラス、都市における緑地の役割、あるいはおもちゃや化粧品のもたらす環境問題やイベントにおけるゴミの問題、再生可能エネルギーの課題などについて調べてきました。調査を行うだけではなく、全員で半期ごとにテーマを決めてできる範囲で環境問題に取り組む活動も行っています。アプリを使った大学近辺の生物調査、スポーツゴミ拾い、代用肉の調理、プラスチックゴミの多いお菓子と少ないお菓子の比較などを過去に行いました。実際に取り組むことで自分たちにもできることがあることを学ぶとともに、対策を行ううえで壁となることを実感することで、自分たちの調査をさらに深めることができるようになります。
家族社会学、ジェンダーの社会学
家族やジェンダーをめぐる現代社会の諸課題について、社会学の視点から研究しています。
家族は、私たちにとって身近で当たり前の存在であるように見えるかもしれません。また、性や性別に関することも「自然なこと」「普通はそうするもの」などと扱われやすいかもしれません。しかし、実はどちらも決してそうではありません。家族も性も、その「当たり前」「普通」はむしろ社会や歴史の影響を受けて成り立ってきたものです。このゼミでは、家族や性に関する現代社会の諸課題を文献講読やディスカッションを通じて考えていき、「当たり前」「普通」を見直す視点を身につけ、多様性を尊重しながらこれからの家族や性について展望できるようになることをめざしています。
メディア文化論、ポピュラーカルチャー研究
アイドルや推し文化についてのメディア言説や関連コンテンツの表象分析、ファン実践の調査
映画、テレビ番組、アニメ、マンガ、ゲーム、音楽、娯楽雑誌、ファッション、アイドルといった現代文化を構成するメディア?コンテンツの内容を分析したり、国内外の人びとがそれらを受容するプロセスに着目して調査したりすることを通して、なぜそれらが人気を集めているのか、社会においてどのような役割を担っているのか、受容者/ファンはどのような特徴を持っているのか等の問いを解明していきます。基本的な研究方法を学びつつ、メディアに関連した施設を訪問したり、メディア関係者から現場の話をきく機会を設けたりしながら、ゼミ生自身が興味?関心を持った事例について分析?調査、発表を行うことを中心に授業を進めています。
逸脱、犯罪、社会問題
批判的犯罪学の理論的整理、教育研究における能力主義批判の理論形成
犯罪や社会問題なども含めた「逸脱」という現象について検討します。「逸脱」とは、規範に反する現象全般を指します。内容は幅広く、犯罪や非行、戦争、汚職、ハラスメント、児童虐待、校則違反、不道徳なこと、マナー違反、どれもみな逸脱と呼ぶことができます。逸脱は、ある人にとってはルール違反であっても、別の人にはそうでなく正常な現象と感じられることもあります。立場によって見え方が違うという特徴をもつ「逸脱」を検討して、通説をうのみにしないで多面的に考える社会学的思考を養います。また問題の解決を考えて、多様な人びととの共生という社会的な課題に取り組みます。進め方としては、文献の講読と参加者の発表を行います。後期は卒業研究の執筆に向けて、論文の書き方を学びながら各自のテーマを探究します。
ソーシャルメディア論
毎年3年生を中心に、帝京大学八王子キャンパスに通う学生を対象としたアンケートを行い、全体の集計結果とゼミ生がそれぞれの興味関心に応じて分析したレポートを報告書として作成しています。グループワークを通して設問を練り込み、分析を通して論理的に物事を捉えアウトプットするやり方を学ぶために行っています。2025年度は「ショート動画の視聴」をテーマに調査を行い、どういう動画が好まれているのか、どんな人が動画をよく見ているのかなどなど分析する予定です。データは、卒業研究や卒業論文に使うこともできます。
犯罪(非行)心理学、投映法心理検査
犯罪(非行)心理を解明し最善の立ち直り策を探っています。
法務省が犯罪者を対象に行ってきた「心理理解」と「立ち直り支援」がゼミのテーマです。心理理解では、投映法心理検査の活用可能性を考えます。立ち直り支援では、多様な犯罪者に実施してきた矯正教育の要点に注目し、対人援助の重要なヒントとして探究します。 ゼミでは、指導教員の実務経験(法務技官)を解説に交え共有しながら、ゼミ生それぞれの「知りたい」を大切に、自由に調べ発表することを中心に進め、ゼミ生のニーズに応じてゲストスピーカーも招きます。公務員志望者(法務省、警察、裁判所、児童福祉機関など)にはキャリアサポートセンターと連携して進路実現を応援します。
心身の健康、認知行動療法
メンタルヘルスに関連した幅広い分野を扱います。興味のある研究テーマが近い学生同士でチームを組み、ゼミ論に取り組みます。4年生が研究をリードし、3年生は4年生の指導を受けながら研究の流れを学びます。ゼミ論では実際にアンケートなどの調査を行い、その結果を分析します。これまでにスポーツ経験とあがり症の関係、ポジティブに歪んだ考え方とストレスイベント、HSP(Highly Sensitive Person:人一倍感受性が高い人)の特徴などの研究を行いました。自分たちの興味を学術的に探求し、検証する体験を重視します。
知覚?認知心理学、認知神経科学
視覚認知、空間認知、バーチャルリアリティ、認知発達、脳機能?視線?瞳孔径の計測
本ゼミでは、知覚?認知心理学や認知神経科学を中心に、私たちが世界をどのように知覚?認識しているのかを、実験を通して探究しています。行動実験だけではなく、視線や瞳孔、心拍、脳波などの生理指標の測定実験も実施し、心と体、脳の関係を考察します。VR空間での認知や、発達?臨床心理との共同研究も行っています。学生が主体的に研究テーマを選び、計画から分析まで実践しながら、心を測るおもしろさを学びます。
臨床発達心理学、教育心理学
発達障害傾向を含む子どもを取り巻く環境に関する研究
本ゼミでは、発達障害や教育分野で各自が関心のあるテーマについて心理学の観点から探求することを目標としています。発達障害を含む多様な子どもの環境としての周囲のかかわりなどに着目して研究を進めている方も多くいます。研究を行うに当たり、自分の関心のあるテーマを見つけ、リサーチ?クエスチョンを明確にしていくことから始めます。同時に、文献検討や研究に関する発表を行うことで、他者に効果的に伝える方法も習得します。また、グループ?ディスカッションを通していろいろな考え方や価値観に触れながら、多角的な視点からものごとを捉え、お互いに学び合うことを大切にしています。